おやじ
親父よ あなたに
「男は弁解するな」ということを、人生の最初に僕に教えてくれた親父に。
ザラザラするヒゲを幼い僕におしつけ、いつもぼくをくすぐったがらせた親父に。
僕の野球を応援する為に日曜日はかならず、平日より早起きしてくれた親父に。
おふくろに対し「お前は子供に対して甘すぎる」と言いながらこっそり僕にこずかいをくれた親父に。
見たい番組があっても食事の時間はテレビをつけることを許さなかった親父に。
僕が病気をした時は、一睡もせず、ベッドのそばに付いていてくれた親父に。
僕が入試にしくじったときにも、だまって、肩をたたいてはげましてくれた親父に。
僕の家内を実の娘同様、家族の一員としてあたたかく迎え入れてくれた親父に。
孫の名前を考えてほしいと頼んだら、本当にうれしそうな顔をした親父に。
決して世渡りがうまい方ではなく、むしろ不器用を自任して人生を生きてきた親父に。
いま僕が自分の子供に対して、あなたのような親父でありたいと願っている親父に。
そしていっしょに、ウィスキーを飲んだら昔より早く酔うようになった親父に。
しかも、そうゆうあなたに僕は今まで一度も「ありがとう」を言った事がなかったから・・・
今僕は、心をこめて 『 ありがとう 』 を贈ります。
父は子の心をつくり、母は子の体をつくる。 (’72・11)
96-33214-161